リフレ上越問題で質疑応酬

リフレ上越山里振興株式会社が雇用調整助成金などを不正取得したとして、厚生労働省の新潟労働局から受給額全額の返還と延滞金や2割相当額の課徴金の支払いを請求されることになった問題で、今日市議会全員協議会が行われました。

説明では、雇用調整助成金と緊急雇用安定助成金が一昨年の4月と5月から不正取得したことが指摘され、それ以降は受給資格が取り消されるので、正当に受給した部分があってもすべて不正受給とされることから、全額の返還が求められることになるとのことです。これらの変換については、市は「会社の責任で返還することが基本であり、会社では取締役会で責任を果たすとしている」と説明しました。

これだけの説明では、不明な点や実態にそぐわない点が少なくありません。そこで、全員協議会では何人もの議員から質問が出されました。

まず出されたのは、不正受給とされた経緯や実態です。誰がいつどのように受給したのか、受給した助成金はどのように流れどのように使われたのか、会社役員は各時点でどの程度認識していたのかなど、わからないことばかりです。

これらについて市は、「現在、会社が調査を依頼した弁護士が詳しく調査中であり、明らかになり次第報告する」とのことで、まだまだ解明は先になりそうです。

問題は、今後の解決方向です。

まず、返還を求められている助成金等をどのようにして支払うのかという点です。市は、「会社の責任で」といいます。しかし、会社は現在債務超過の状態で、支払うだけの能力は大いに疑問です。「取締役の責任で」ともいいますが、取締役の多くは、地元の自主団体の役員が充て職として就任しているのが実態で、地元にとって大切な施設の運営を担う会社であることから、善意で名を連ねているというのが実際のところです。もちろん、大半は無給で、会議なども手弁当での参加です。そうした人たちに、「取締役なんだから責任を取って出捐しろ」と求めるのは、市民感覚に合いません。

もちろん、法的には取締役の責任であり、普通の民間会社では、取締役が尻拭いをすることになるでしょう。しかし、会社の創設の経緯や実態を考えると、杓子定規にはいきません。取締役の責任追及を強行したら、取締役のなり手はいなくなります。他にも多くの同じような三セク会社で同様な役員構成を取っている例があり、この会社だけの問題にとどまりません。

何よりも、約9割の株主であり、所有している3つの施設の運営を委託している市当局の関わりや責任をどう感じているのかが問われます。

その点をただすと、「市は委託元として責任を感じているが、不正行為を働いた会社に市が税金を投入することはできない」とのこと。その点だけを見るとまったく当然のことではありますが、それも実態を踏まえない冷たい言い方です。なんらかの工夫で、善意あふれる充て職の地元役員の負担を避けることができないものかと考えざるを得ません。

私を含めて何人もの議員からこの点を聞かれると、担当幹部は「取締役には何らかの支援ができないかを検討する」とのことでしたが、市民が納得できる税金の使い方の範囲で、大いに支援をしてほしいものです。

なお、その他に私は、「書類上の報告だけであったので、市としては不正行為があったことがわからなかったと言うが、労働局がわかって市がわからなかったというのはどういうことか」とただしました。

市は、「労働局は全国のこうした例を元に、社会保険労務士が関与していない事例を抽出して厳密に調査したようだ。助成金の申請書類と出勤簿を突き合わせた段階ではわからず、発注伝票との突き合わせで不正が露呈したとのことである。市としては、地域振興のための会社であり、いわば性善説に立って見ているので気がつかなかった」といいます。しかし、性善説だろうが、性悪説だろうが、委託元として、そして同じ行政機関として不正を見つけることができなかったというのは納得できません。この点は、説明でも今ひとつ不明です。

今から考えると、会社の事業年度末の収支説明の際、「雇用調整助成金収入があったので、黒字にすることができた」という説明でピンとくるべきだったのではないかと思います。そもそも雇用調整助成金は、コロナ禍でたいへんな目に遭っている事業者の損失を緩和するという性質の助成金ですから、それをもらったとしてもあくまでも赤字を減少させる程度のはず。それが通常よりも収支が改善したというのはきわめて不自然です。そのことにその時点で気づけないのは残念でなりません。

さて、次の問題はこの会社の今後のあり方です。

市は、「不正行為を働いた以上、市の施設の指定管理の継続は難しい。会社ぐるみで行ったとなると、指定管理の取り消しは免れない。そうなると、それ以外に事業のないこの会社は解散せざるを得ないだろう」とのことです。議員からは、「こうなった以上、問答無用で指定管理を取り消すべきだ」との指摘もありました。

会社の存続はともかく、管理している施設はいずれも地元にとって大切な施設です。この会社が解散することで施設の存続も危うくなるようでは、多くの市民の願いに反することになります。また、この会社で働いていた多くの従業員のみなさんの職を奪うことになってもたいへんです。なんとかして施設と雇用を残したい、そしてますます地域に愛される施設として発展してほしいというのが、渡し始め多くのみなさんの願いです。

施設廃止などというようなことにならないよう、どんな工夫ができるのか、何をすべきか、多くのみなさんの知恵と力をいただきながら、提言していきたいと思います。

 

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コメント: 7
  • #1

    じろう あけぼの (土曜日, 24 12月 2022 09:22)

    増田の星野と申します。お久しぶりです。
    大変な事態ですね。悪意のある、いわゆる不正であれば、会社の責任が厳しく問われると思います。ただ、三セクで私腹を肥やすような使途は考え難いので、給料や仕入等の通常の支払いに消えたものと推測します。コロナや物価高騰の影響分をカバーする指定管理料の追加はあったのでしょうか。不正をした会社に税金を投入できないとの市の主張ですが、まずは施設設置者としての責任が果たされて来たのか。これが重要かと思います。
    遠隔の地からご活躍を応援しております。

  • #2

    ひららぎ哲也 (土曜日, 24 12月 2022 15:59)

    ありがとうございます。まだまだ不明な点が多いのですが、ご指摘の通り悪意での浪費等はないと思われます。ただ、会社の維持のための借入金の返済等に充てたのではないかと思われますので、現段階で取り戻す等のことは不可能ではないかと感じています。
    市はこの日の全員協議会で指摘されるまで、自らの管理責任に関してはあまり申告に感じていなかったのではないかと思わざるを得ない節があり、今後ともその点を正していく必要を感じています。なお、市はコロナ禍での収入減に対応する指定管理料の追加支給をしておりますので、その点での追及は難しいかも知れません。

  • #3

    じろう あけぼの (土曜日, 24 12月 2022 16:59)

    わざわざご返事をいただき、ありがとうございました。
    市としては一定の責務を果たしていると言われそうですね。ただ、筆頭株主として会社のキャッシュフローも把握していたはずであり、借入金の返済に窮していたのを放置してきたのでしょうか?それとも社長が市の意見に耳をかさなかった?
    詳しい事情を知らないままで、勝手なことは言えませんけど。

  • #4

    じろう あけぼの (土曜日, 24 12月 2022 17:24)

    4年前、横手市(旧増田町と旧山内村)では、公営温泉施設を民間会社に無償譲渡したため、それまで指定管理で運営してきた2つの三セクが解散しました。コロナの影響もあり、2年後に温泉が市に返却されましたが、計60人近い労働者が職を失いました。温泉はいずれも使われないままで、いずれ解体されるでしょう。
    事例紹介でした。

  • #5

    ひららぎ哲也 (月曜日, 26 12月 2022 23:23)

    実は私も株主の一人でして、今日株主向けの説明会に参加してきました。説明はほとんど弁護士が行い、その内容も「現在調査中なので、詳しいことは何も言えない」とのことです。
    この会社は、設立当時は社長が商工会議所の親玉で、取締役には副市長や地元のバス会社の社長など、経営に慣れた人が数人入っていたのですが、現在は経理担当の参与以外は社長以下全員が漁協の組合長や町内会長など地元のフツーの市民で、帳簿の見方もわからないような人ばかりというのが実態です。
    今日もそうした人たちを責めるわけにも行かず、なかなか難しい説明会でした。
    説明会では、参加者から「この施設は地元にとって大切な施設。なんとか営業継続を」との声が出されました、市は相変わらず一般的なことをいうのみで、責任を取ろうという姿勢がありません。
    ご指摘の通り、市の担当者は経理もそれなりに把握してきたはずですから、しかるべき時点で手を打てたはずだと思いますので、なんとか責任をとらせたいと考えています。
    なお、横手市で無償譲渡された温泉施設のひとつは、もしかして「上畑温泉さわらび」でしょうか。ここは、5年前に久しぶりの中学校の同期会で泊まったところです。また、ごく幼い時分に父が上畑中学校に勤務していたので、思い入れがあります。誠に残念です。

  • #6

    じろう あけぼの (水曜日, 04 1月 2023 23:27)

    明けましておめでとうございます。返事が遅くなって申し訳ありません。
    ご推察のとおり、解散・廃止したのは上畑温泉です。ここを運営していた三セクの株主は市が筆頭で約85%保有、他には地元の誘致企業・銀行・JAが50万~100万程度保有していました。個人株主も何人かいましたので、株主総会は大荒れでした。
    最後は大株主である市の意向で清算が決議されています。なお、清算人は市の職員が指名されましたので、株主総会での説明などもこの清算人が行いました。ほぼすべての発言を残した議事録も、事務局として出席した市職員が作成しました。

  • #7

    ひららぎ哲也 (金曜日, 06 1月 2023 10:28)

    あけましておめでとうございます。お返事ありがとうございました。また、貴重な情報をありがとうございました。
    こちらの動きは、これからの勝負というところですが、このままですと、会社清算→指定管理廃止→新管理者募集→応募者なく事業廃止→施設売却または除却という最悪の事態も考えられます。その前に、会社清算の前提として、現在の取締役(ほぼ全員が地元町内会や漁協などの代表者の充て職)に負担を強制することもあり得ます。こうしたことがまかり通ると、たいへんなことになりますので、しっかりと監視していきたいと思います。なお、できましたら、”お問い合わせ”ページにて、お便りをくださいますと幸いです。メールにて返信いたします。