太陽の蓋

 先日「ユーチューブで公開されている太陽の蓋という映画は見るべきだ」と、ある人から紹介されたこの映画をやっと見ました。

 2011年の福島第一原発事故を巡る首相官邸の状況を、官邸記者クラブの新聞記者の視点から描いた作品ですが、見所は、同時の官邸の対応です。

 これまでの報道では、菅首相の突然の現場視察が批判の的になったり、枝野官房長官の「直ちに健康への影響はない」などの無責任な言葉が揶揄されてきたりしましたが、この映画で描かれているのは、それとは違った姿です。

 どこまでが事実なのかはわかりませんが、事故直後の原発の処理に関して、右往左往する姿、東電幹部が言を左右にしながら有効な手立てを取らせようとしない姿などが描かれていました。

 この中にははっきりとした事実も含まれているのでしょう。例えば、原子力安全保安院の当時の院長が事故の影響を聞かれたのに対して、「わかりません。私は東大の経済出身です」と言うところなどは、あまりに恐ろしくて、逆の意味で笑ってしまいましたが、少なくとも出身学部は事実なのではないでしょうか。また、事故後何日たっても正確な情報をつかめず、現場とも連絡を取れずにいる官邸の危機管理室を出て、業を煮やした首相が東電の本社を訪れると、そこでは現場の姿を映し出した大型モニターを含めてすべての情報が手に取るようにわかっていたことなども、事実なのではないでしょうか。

 それらを考えると、当時の東電のやり口=官邸にすらリアルタイムの状況を伝えずに隠蔽し、事故の収束やそれ以上の被害の防止よりも、原発施設の存続や延命を図っていたのではないかと思わざるを得ません。

 いずれにしても、せっかく無料で公開されている映画です。多くの人にぜひ見ていただきたいと思います。

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