各病院と懇談

 1月16日、梅谷守衆院議員の手配で、上越市と妙高市の市議会・県議会議員有志が市内の各病院を訪ね、病院幹部と懇談しました。訪ねたのは、厚生連上越総合病院、新潟県立中央病院、独立行政法人労働者健康安全機構新潟労災病院です。

患者自身も協力を

 上越総合病院では、篭島院長が「医療現場はとにかく大変。一人の首長が何かをしても変わるものではない。地域の全員が党派を超えて力を合わせないと医療は良くならない」と切り出しました。そして、「現在の医師の働き方は非常に過酷で、当直があると48時間ぶっ続けの勤務になり、その前後も通常勤務だ。この春の医師の働き方改革はそうした医師の人権を守ることが奥にある。しかし、実際は病院は医師の時間外勤務に支えられているのが実態であり、時間外勤務が減るとその分診察時間が不足する。タスクシェアやタスクシフトにも取り組んでいるが、患者自身も理解や協力をしてほしい。例えば病状の説明を日中のみにするとか、軽症は街のクリニックに行くとか、医師を選ばないなどのことがある」と話しました。

 なお、この病院を運営していくための望ましい医師数を聞くと、現在の80人の倍の160人が必要とのことでした。

 行政に望むことを聞くと、「まず教育に力を入れること。そして若い人のニーズをとらえ、雇用の機会を確保することが重要。若い人が集まるところに医師も集まってくる」と語りました。

 このような医療現場の実態を聞き、市民社会全体で病院を支えていくことが何よりも大切であると、ひしひしと感じました。

他県では2倍の医師数

 新潟県立中央病院では、長谷川院長が「看護師が足りず定員を確保できない状態で、入院を制限している。一つの病棟をコロナ対応にしているが、コロナが落ち着いてこの病棟を一般病棟にすると、そこでの入院患者の対応もあり、看護師がもっと不足する事態になる」と、こちらもまた切実な状況を話しました。

 医師や看護師がいったいどのくらい不足しているのか聞くと、「例えば群馬県では、500床クラスの病院だと、この病院の倍の人数の医師がいる」とのことです。中央病院は530床で医師は110人ですから、医師は120人も不足している計算になります。

 医師を確保するにはどうするかという点では、「医学部の定員を増やすしかない。現在、全国の医学部に新潟県の地域枠で140人が学んでおり、その医学生が20年後には育ってくる」とのことです。

 労災病院の閉院に伴う患者の受け入れでは、「今の体制では無理。労災病院の急性期患者を受け入れるには看護師等の定数をまず確保し、プラスアルファの体制が必要だ」とのこと。県が狙っている労災病院の閉院には大きな問題がありそうです。

「2年後に閉院」は件が県が示した方針

 新潟労災病院では、今回の地震で市民が多数避難してきたことから、2階を避難所として一晩開放したとのことです。近くに大きな建物がないこともあり、避難所としても大きな役割を果たす施設であることを再認識しました。

 2年後の閉院の方針については、「2年後というのは県の方針であり、病院としては決めていない。発表の直前になって県から通知があった」「現スタッフの今後の雇用条件等に県は関与しておらず、今後は病院同士の話し合いになるだろう」「この病院は築30年、きれいには見えるが海岸に近いこともあり配管などはかなり傷んでいる。引き続き使うにはかなりの費用がかかるだろう」とのことでした。

 また、地域の中核になる病院が2つに絞られることについては、「病院が2つでは不安。しかし県は人口の減少を見て減らそうとしているのだろう。各病院内での改革が必要になってくるだろう」との見解を示しました。